2019年10月開催 心と体の勉強会 音声テキスト No.1
皆さん、リラックスして聞いてくださいね。
大きく呼吸をして。ため息ついたりとか。
この間、「ため息をついたほうが良いですよ」と患者さんに言ったら、「『ため息をついたら幸せが逃げる』と言われたんですけど…」と真面目な顔をして言われたので、「逃げませんよ」と言ったんですけども(笑)。
「はぁ~っ」と息をつくことはとても重要なんですね。今日はその呼吸のお話もしようと思うんですけど…いちばん大事なことなので。
ただ、僕の伝えたいことだけじゃなくて、皆さんの知りたいこと、「自分はこういうことに今困っている」「不眠で困っている」とか「めまいで困っている」とか「家族がうつで」とかいろんなことがあると思うんですけど。今日は参加人数が少ないので、もし言えたら、個別にお話をしていこうと思います。
動画を撮っていますが、外には出ませんのでご安心ください。
さっそく始めようと思うんですけど、皆さん、今日知りたいこと、「こういうことに困っているから対策を知りたい」とか「こんなことで問題が起きているので、どうやって対応したらいいか…」とか。
「こんなことを聞いたらあれかな…」とか思わずに。
皆さんからそれを聞いて、それから少しずつお話しながら、具体的にどんな風に対応していくかとかをお伝えしていこうと思います。
まず、人間は人間である前に「動物」なんですね。「生物」です。
動物と言うのは…「刺激」が体の中に入ってきます。
例えば、腕を押された。立っているだけでも、「重力」という刺激がありますね。
その刺激が入ると(入力)、脳とか自律神経が刺激に反応したり処理したりします。
これを「中枢神経」と言ったりします。それが、その後の行動(出力)につながります。
脳と自律神経が、「この刺激に対してこういう行動をしましょう」というふうに反応するわけです。
例えば、いきなり寒くなりましたよね。寒くなったから、皆さん今日はたぶん1週間前よりも服を着ていますね。服を着るという行動もそうですが、その前に、体温が下がるから毛穴を閉めるとか。
寒くて鳥肌が立ったことはありますか?あれも毛穴がキュッとなって体温を外に逃がさないようにしているというのが「出力」ですね。
ご飯を食べたら唾液が出る、胃液が出るとか。つまずきそうになったら右足が出るとか。
必ず、「入力」に対して適切な「出力」というのがされるわけです。これがまず基本ですね。
この「出力」行動に対して、(人間以外の)動物はほぼそういうことは行わないんですけど、人間はこの行動に対して、「抑圧」というのをするんですね。
「抑圧」って何かというと、「その行動をしないように」するんですね。
例えば、今お腹が空いているとして、「お腹が空く」という入力がありますね。
そうしたら、お腹がグーっと鳴って、それからどんな行動をしますか?ご飯を食べますよね。
では、今ここでご飯を食べますか?
ここでは別に食べても良いんですけど、職場だったらそうはいかないですね。あとは電車の中とか。
何か食べるにふさわしくない状況のときは、(食べるという行動の)抑圧ということをします。
簡単に言うと、これが「多い」か「少ない」か…それがすごく重要なことなんです。少ないほど、健康的です。多い人ほど、不健康です。
例えば、この「行動」というところには、多くの場合は「感情」というものが乗っかります。
感情は、「楽しい」とか「悲しい」とか、「イライラする」とか。そういう感情があるんですけども。
例えば、女性の方なら、イライラしながら料理をしたり、イライラしながら掃除をしたりとかしたことありますか?イライラしながら何か仕事をしたりだとか。
イライラというのは「怒り」ですね。
「怒る」というのは、自分を守ることなんですね。自分に危害が加わるというときに、人は怒るんです。
もしくは、自分の大切な人やものに危害が加わるかもしれないというときにも、それを守るためのエネルギーとして怒るんですね。
皆さん、怒った時のことを思い出してください。
何かしら自分に害が及ぶ、もしくは自分の大切な人やものに害が及ぼされるときに、人は怒るんですね。傷つけられたりとか。
感情というのはエネルギーなんですね。
なので、「怒りながら何かをする」というのは、この「自分を守る」というイライラの行動を抑圧して、何か違うことをやっているわけです。
例えば、お仕事をしていて誰かに理不尽に怒られたとしますね。上司の方とかに。
その時に、イライラした、怒ったとします。
そうすると、もし抑圧をしなかったらどんな行動をしますか?
例えば、「うるさい、お前がやれ!」と言ったりとか、「いやいや、部長がやれって言ったようにやってますよ」とか、いろいろ言いたいことが出てきますよね。
その言いたいことを言ってしまうと、社会的に問題があるので…動物と違って人間は。
そうすると、その言いたいことというのを抑圧するわけです。
なので、入力に対する反応や出力というのは動物として必要なことなんですけど、これを止めてしまうわけです。行動させないようにしてしまう。
これが、簡単に言うと「不健康な状態」です。
行動には感情が乗っかりますが、感情はエネルギーなんですね。
怒ったら顔が赤くなりますよね。あれは実際に顔の温度が上がっているんです。
体温も上がる人がいますね、汗かいたりとかも。
そういうエネルギーというのが行動で発散されるんだけども…。
嫌いな人に「バカヤロー」と言ったら気持ちいいと思いませんか?
エネルギーがバーッと出るわけですよ。言えるか言えないかは置いておいて。
で、このエネルギーを抑圧するわけですよ。
感情エネルギーと共に、行動するエネルギーも抑え込んじゃうんです。
抑え込むときに、どうやって抑え込みますか?どうやって怒らないようにしますか?
グッとこらえますよね、筋肉を緊張させるわけですよ。
なので抑圧するときには必ず「筋肉の緊張」というのが行われるんです。
そうするとどういうことが起きているかと言うと、「体の中に本当は外に出すべきエネルギーが溜まっている」という状態と、(それを出さないように)「筋肉が緊張している状態」というのが起こるわけです。入力から出力をスムーズにやらないと。
僕の本とか小冊子にも書きましたけど、壺みたいなのがあって、中に怒りとか悲しみとかいろんな感情が湧いてきたところを、筋肉で蓋をするわけですね。
そうすると壺はパンパンになるわけですよ。
圧力鍋の、圧が抜ける部分がないようなものだと思ってください。パンパンになってきますよね。
そして最終的には、蓋も飛んでパーンとはじけ飛んじゃいますよね。
そのはじけ飛ぶのが、簡単に言うと「症状」なんです。
だけど、なるべくはじけ飛ばしたくはないから、蓋の隙間から(感情が)少しずつ漏れ出してくるんです。
これが、多くの人の「症状」です。
症状がドカーンと出る人もたまにいるんですけども。
例えば(皆さんの話で出た)筋肉の「けいれん」というのはですね、筋肉の緊張状態でグッと抑え込んでいるんですけど、でも、「行動」というのは筋肉を動かして行動するわけですよね。
だから、抑え込みながら動かしている状態なんです。
もしそれをピタッと抑え込んでいたら、いつか爆発しちゃうんです。
なので、けいれんのような緊張の動きというのは、本来はとても良いものなんです。
それがなかったら、どんどんおかしくなってしまう。
だから、多くの症状というものは…全てと言っても良いでしょう。症状と言うものは、良いことが起きているんです、その体にとって。
風邪をひいたときに熱が出たとしますね。その熱はなんで出るか知っていますか?
体温が38度以上になると、免疫のスイッチが強になるんですね。なので、早くウイルスをやっつけられるんですね。
だけど、解熱剤を飲んじゃったりすると、37度5分とかに落ちちゃうわけですよ。
そうすると、免疫のスイッチはまた弱になっちゃうんです。なので、風邪が長引いてしまう。
治るために最適なことが「熱を出す」ということなんですね。
症状というのが風邪を治すために出ている。
だから、「いま体で起きていることはすべて良いこと」という風に思うほうが、正解というか正確というか。
僕もうつになったことがあるから分かるんですけど、うつは嫌ですよね。
だけど、うつにならなかったらどうなるか。
うつってどういう状態かというと…ここにエネルギーの入れ物があるとしますね。
普段はほぼいっぱい、疲れているとそれが減って、ものすごく疲れてくると半分くらいになるとしますね。
ものすごく仕事をやったりだとか、ストレスを抱えながら何かを一生懸命頑張ったりとかすると、残りが10パーセントくらいになっちゃう。
生きるのに必要な最低限のエネルギーをギリギリ超えているくらいです。
例えば、心臓って止まることなく動いていますね。
動くには必ず、生物的にはエネルギーが必要なんですよ。
そのエネルギーがなくなったらどうなるでしょう?心臓が止まっちゃいます。
これが簡単に言うと「過労死」なんです。
限界までエネルギーを使ったらどうなるか。生物は全部死にます。
なぜなら、生きるにはエネルギーが必要だから。
植物もそうですね。無機物は違いますよ。石はエネルギーがなくなってもそのままですけど。
なので、最低限のエネルギーを下回ると死んでしまうので、下回らないようにエネルギーを使わないようにしようと、エネルギーのバルブが省エネモードに入るんですよ。
僕今日スマホでずっとやり取りをしていて、電池が20パーセントになると「低電力モードになります」ってなるじゃないですか。
簡単に言うと、あれが人でなるのが「うつ」なんです。
なので、ほぼいっぱいの状態から最低限のところまでエネルギーを使い切るくらい、ものすごく頑張ったんですよ。
それ以上使ってしまうと、死の危険が及ぶんですね。
そのため、やる気を起こさせなくするんです。やる気になっちゃったら、やっちゃうのでエネルギー使っちゃいますよね。
あと、「興味関心の喪失」という症状があります。
例えば、今ラグビーの大会やってますけど、20年来のラグビーファンでも、今うつ病だったら、ラグビーのことはどうでもよくなっちゃう。
なぜか。
(興味関心があると)応援してしまいますよね。それでエネルギーが消耗されてしまうので。
生きるために必要なエネルギーまでラグビーの応援に使って、自分の心臓が動かなくなっちゃう。
だから生命というのは、生きるのに最適な状態を常に作っているんです。
症状というのは、生きるために最適な状態なんです。その体にとっては。
僕は28歳くらいのときにうつになったんですけど、その時は、今考えると相当ストレスがありました。
その中で、仕事もやりつつ一生懸命いろいろやっていたんですけど、その時はもう限界で。
その時は「イヤだな」と思っていたんですけど、今思うと、うつになっていたからあそこで死なないで済んで、そしていろんなことを、自分で体のことを学んだりとか、心のことを学んだりとかするようになって、結果良い状態になるわけですね。
だから、症状はマイナスなものでは決してないということが重要なんです。
その「けいれん」も。けいれんしていたら(体は)どうしたいのだと思いますか?
簡単に言うと、けいれんしていたら、もっとけいれんさせてあげれば良いんです。
止めようとすると、どんどん壺の蓋がしまっちゃうんです。
そうしたら、壺の中の圧力がどんどん高まって、パーンと爆発してしまいます。
爆発したら、相当な症状が出てきます。
例えば、全身性の病気がよく出てきます。免疫不全とか。
病院に行ってもなんだかよくわからない、理由がわからないけどずっと38度の熱が出るとか。
それは、熱を出して(溜まった)エネルギーを何とか消耗させようとしているんです。
なので、けいれんのような兆候が現れてきたら、もっと動かしてあげるんです。
そうすると、普段止めているものだから、もっと出てくるんですよ。
多くの人は最初それをやると、びっくりしちゃうわけです。「私大丈夫?」みたいな。
普段は意識して動いているものが、無意識で動くからびっくりしちゃうんです。
だけど、この抑圧をするときには、無意識に筋肉を緊張させるので、普段は意識して動かしている筋肉が、いつの間にか無意識で動いちゃっているわけです。無意識で緊張させちゃっている。