自律神経にもストレスは必要です!

更新日:2020.09.18

執 筆:整体師 角道征史

前回の私のブログでは、自律神経にとって、ギャップがとても負担になるということをお話ししました。
今回はそれとは対極的な話になりますが、ストレスも必要であるということに触れたいと思います。

基本的なストレス

私たちが生活する上で、基本的にかかっているストレスは重力です。
地球に住んでいる以上、重力という負荷の中で生活せざるを得ません。
その重力という負荷を限りなく少なくしたものが、寝たきり生活です。

ただ、寝たきり生活は軽い負荷しかかからないため、そこから起き上がる生活に変わるためには、かなりのエネルギーを必要とします。
そのため、お年寄りが腰痛や骨折などで寝たきりになってしまうと、その後が大変なのですね。

私が20代の頃に、骨盤骨折の事故で1か月ほど寝たきりになったとき、足が3分の1ほどの太さになってしまい、負荷がかからないとこれほどまでに影響が出るのだな、と愕然とした覚えがあります。

ただ日常生活を送っているだけでも、今の自分の体を維持するために必要な刺激、つまり重力のストレスを受けて抵抗できているのですね。
逆にストレスがなくなると、耐えるための筋肉が衰えてしまい、結果として普通の生活に耐えられない体になってしまいます。

ストレスはなぜ必要か

みなさんがご存知の通り、構造的ストレス・精神的ストレス・化学的ストレス・温度湿度のストレスと、ストレスには4種類あります。
そしてかかるストレスが多ければ多いほど、トータル的に消耗してエネルギーは枯渇していきます。

ではストレスが全くなければ、元気になるのでしょうか?幸せになるのでしょうか?
もちろんそうではありません。
ストレスが必要な理由は2つあります。

1.体力の上限をアップする

ストレスという刺激が全くないと耐性ができないので、許容量が増えません。その結果ちょっとのストレスにも耐えられない自分になってしまいます。
重力にさえ耐えられないような体にも簡単になってしまうのですね。

それを防ぐために、生活をし、筋肉トレーニングなどをして、より大きな力を発揮できるように、負荷に耐えられるようにするわけです。

もちろん心についても同様のことが言えます。
精神的な面で負担のかかる経験が少ないと、心の許容量が増えないので、すぐに限界を迎えて調子が悪くなってしまうのですね。

2.幸福感を感じられる

ストレスという刺激がないと、ノルアドレナリンやドーパミン、さらにはセロトニンなどのホルモンの分泌までもが促されないため、おもしろい、楽しい、わくわくする、やり遂げた、満たされるなどの感覚を得ることができません。

ストレス刺激があるからこそ、人生が楽しくなるのですね。

適切なストレス

前述のとおりストレスは必要なものですが、一体どの程度、必要なのでしょうか。

健康のためにと思い立ってジムなどに通い始める人がいます。
やる気になって始めたのはいいのですが、それまで動かしていない体を急に動かし過ぎることによって、やりすぎて体を痛めてしまう方が多いです。

急に強い負荷を与えることは大きなギャップになるため、体だけでなく、自律神経にも大きな負担となってしまいます。

許容量を上げるためにストレスをかけるのは大切なことなのですが、自分が耐えられる以上の負荷がかかると疲弊してしまい、自律神経の乱れにつながってしまいます。

自律神経の乱れてしまった人は、すでに耐えられる以上のストレスを受けてしまっているのです。
このような方はついつい頑張りすぎてしまう傾向があるので、とても注意が必要です。

プラスとマイナスのバランスをしっかり考えながら、うまくやっていきましょう。


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