更新日:2018.06.26
執 筆:整体師 佐久間舞
☆女性のホルモンや自律神経を乱す、ストレスとの関係についてお話しています。
~ 「女性ホルモンと自律神経の深い関係」vol.4 ~
最後に、自分で女性ホルモンおよび自律神経の機能を整えるポイントをお伝えしていきます。
まずは医療機関での検査を受け、それでも明らかな原因疾患や機能障害が見つからない場合、またはその治療をしてもなかなか良くならない場合の補助的な方法として参照いただければと思います。
ポイントは2つです。
「よくわからないこと」や「予測できないこと」というのは不安のもとであり、対処できないストレスになってしまいます。
ストレスは自律神経に悪影響を及ぼします。
逆に、「知っていること」や「予測できること」というのは不安のもとにはなりにくく、ある程度落ち着いて対処ができるはずです。
まずは、自分の体と症状をよく観察して知りましょう。
手帳、カレンダー、アプリなど、何でも良いのでまずは月経周期や期間を記録して把握しましょう。
周期や日数にばらつきや特徴がみられないでしょうか。
記録した周期と自分の症状や生活のサイクルに関連性はないでしょうか。
大きな仕事の準備で緊張と疲労が続いたときに月経周期が長くなった、月経前の一週間は普段気にならないようなことで落ち込んだりイライラしたりする、肩こりが決まって月の半ばにひどくなるなど、規則や傾向を見つける作業です。
いつもと違う不調が出た日があれば、記録して照らし合わせてみましょう。
もし周期との関連があれば、大事な予定や決断をずらしたり、余分に休息をとったり、何かしらの対処ができるでしょう。
基礎体温を測ることで、あくまで目安ではありますが、自分の女性ホルモンの状態を知ることができます。
月経周期の長さや体温は体調や環境に左右されやすいので、傾向をみるのに最低でも3か月は続けて測ってみましょう。
起床時に布団から出る前に口腔内の温度を体温計で測ります。
一日の活動前の体温を同じ条件で測り続けることで、活動や外部の影響を受けない体温を測ることができます。
その変化を正確にみるためには目盛りや単位の細かい「婦人体温計」を使用します。
測った数値を折れ線グラフにします。グラフにすることで、高温と低温の「相」の有無が一目でわかります。
インターネット上にはダウンロードして使用できる表がたくさん用意されていますし、スマートフォンで数値を入力するだけでグラフ化してくれる便利なアプリも多くあります。
正常な月経周期であれば、月経後から排卵日までの卵胞期が低温相、排卵後から月経前までの黄体期が高温相という二相に分かれます。
プロゲステロン(黄体(ホルモン)には体温を0.3~1.0℃上げる作用があるため、温度差もこの範囲内になります。
また、排卵日の付近はおおよそ周期の中で最も低い体温になります。
以下に該当する場合は、何らかの異常が考えられますので、医療機関の受診をおすすめします。
これまで見てきたように、女性の体の中では脳やホルモンが毎月毎日めいっぱい働き、おそらく自分が思っている何十倍も頑張っています。
自分の体の頑張りを認め、頑張るために消費した様々なエネルギーを補給してあげる必要があります。
症状はすべて、体の声であり、何かを伝えるサインでもあります。
不快な症状があると、どうしても抑えることや紛らわすことに意識が向いてしまいますが、自分の体がその症状を通して発しているサインは何でしょうか。
「妊娠しなかったので、月経の準備をしている」「疲れすぎていて、ホルモンを出す余裕がない」など、体の声を大切にして耳を傾けてみることで、症状の受け止めかたの変化や、新たな気づきが得られるかもしれません。
目標を達成したときや頑張ったあとの「プチ贅沢」や「自分へのごほうび」。ストレス発散やモチベーションのために自然と実行している方も多いかもしれません。
実はこれらの行動は、「頑張る自分をねぎらう」ことで「自己尊重感」を高め、ストレス耐性を高めることにもなるのです。
大それたことである必要はありません。
わずらわしい生理を今月も無事に終えた、辛い生理前の期間を乗り切った、そんな自分の心と体にねぎらいの言葉をかけ、リフレッシュや休息という「ごほうび」をあげましょう。
栄養、酸素、血液(循環)、気力、体力、睡眠など、「エネルギー」と聞いて思い浮かぶものは様々ですが、それらは十分に補給されているでしょうか。
また、エネルギーは補給だけすればいいものでもなく、補給したものを循環させ、しっかり消費することで初めて、新しいエネルギーを補給して「回す」ことができます。
栄養補給に関連して、低血糖を招くような食事のしかたは避ける必要があります。
月経前症候群の原因のところで少し触れましたが、アドレナリンには血糖値を上げる働きがあるとともに、プロゲステロンが働くのを阻害する作用もあります。
血糖値が急激に下がると、血糖値を上げるためにアドレナリンが働き、交感神経が刺激されてイライラや不安、頭痛やだるさなどの症状も出やすくなります。
空腹時などに不調が出る場合は、血糖値の下がりすぎが影響している可能性があります。
適度な間食や食事回数を増やす、時間を調整するなどの工夫をしてみましょう。血糖値が下がりすぎるのは以下のようなときです。
※脳脊髄液:脳や脊髄の表面を覆い、その保護や栄養、老廃物を運ぶなどの役割をしている液体。
以上、女性ホルモンの働きと月経周期に伴う女性の不調、それに自律神経についてまとめてきました。
それぞれの不調は症状も程度も原因も組み合わせは無数にあり、決してひとまとめにはできるものではありません。
しかし、これらの不調が共通してストレスの影響を受けること、女性ホルモンと自律神経が互いに影響しあっていることは確かです。
体のバランスを整えて身体的なストレスを減らす、エネルギーを循環させる、自律神経をしっかり働かせる、そんなお手伝いをするのが整体です。
自分の体の状態をよく知るためにも、エネルギーを回せる体をつくるためにも、ぜひ有効活用していただければと思います。
参考文献