更新日:2015.12.08
執 筆:整体師 荒木晶子
☆心を作る神経伝達物質についてお話しています。
~ 「神経伝達物質で心をつくる」vol.1 ~
誰にでもそういう時はありますよね。
実は、そのような気分や心の状態は、脳の中の神経伝達物質の化学反応によるものなのです。
逆に、
など、満たされている状態の時も同様です。
たくさんの神経伝達物質が、脳の中で網目のように広がる神経細胞(ニューロン)の間を行き来することで、心の動きとなって感じられます。
これらの神経伝達物質は、脳だけではなく全身をかけめぐっています。
また、神経伝達物質の原料は、食事から取り入れたタンパク質やビタミン、ミネラルといった栄養素から出来ているので、それらを消化分解する内臓の働きも大切です。
神経伝達物質には、アクセルの役目をする興奮性のものと、ブレーキの役目をする抑制性のものがあります。
アクセルを踏みすぎると、興奮してソワソワ不安で落ち着かない状態になってしまい、反対にブレーキがかかりすぎると、気分が沈んでやる気が起きない状態になってしまいます。
では、神経伝達物質にはどのような種類があり、心と身体にどのように影響するのでしょうか。 代表的なものをあげてみましょう。
アセチルコリン
1. 働き |
大脳皮質や海馬などに広く分布する。適度に分泌すると目覚め、睡眠、記憶力や学習意欲などを高める。 |
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2. 過剰 |
躁うつ、パーキンソン病など |
3. 不足 |
記憶障害、アルツハイマー病など |
ノルアドレナリン
1. 働き |
「緊張ホルモン」と呼ばれ、怒り、不安、緊張、恐怖を生み、覚醒や記憶、闘争心とも深く関係する。 |
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2. 過剰 |
怒り、不安、緊張、恐怖、躁病など |
3. 不足 |
気分の落ち込み、うつなど |
ドーパミン
1. 働き |
「快感ホルモン」「期待感ホルモン」と呼ばれる。適度だと快感、陶酔感、多幸感を与えるとともに、積極的な行動を促す。創造性、攻撃性、統合失調症、パーキンソン病に深く関与する神経伝達物質。 |
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2. 過剰 |
ソワソワして落ち着かない、病的な不安、躁病、統合失調症など |
3. 不足 |
うつ、パーキンソン病など |
セロトニン
1. 働き |
「ハッピーホルモン」「リラックスホルモン」「リズムホルモン」などと呼ばれ、幸福感、安心感、充足感、ほのぼの気分、感情を安定させる。 |
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2. 過剰 |
不安、怒り、緊張、躁病など |
3. 不足 |
うつ、食欲・性欲の増加、気分の低下、イライラ、ネガティブ思考、強迫観念、不安、焦燥感、不眠など |
GABA(ギャバ)
1. 働き |
脳のなだめ役と言われ、情報伝達全般に関与し、神経細胞(ニューロン)の興奮を抑制するブレーキの役割をはたしている。 |
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2. 過剰 |
ブレーキがかかりすぎて、やる気がなくなってしまう |
3. 不足 |
少ないと緊張し、ストレスを感じ、気分が沈みがち |
メラトニン
1. 働き |
脳の松果体という部分から分泌され、「快眠ホルモン」「ご機嫌ホルモン」などと呼ばれる。 |
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2. 不足 |
不眠、うつ状態 |
βエンドルフィン
1. 働き |
脳の調整役と言われる神経ペプチド、オピオイドの一種。 強い痛みやストレスの対して、多幸感や鎮痛作用(モルヒネの三倍の効果がある)をもたらす。 抗うつ・抗不安作用のほか、食欲を高めて摂食を促進させる神経伝達物質。 |
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他にも、神経伝達物質は、グルタミン酸、タウリン、ヒスタミン、エンケファリンなど数百種類に及びますが、主なものはアセチルコリン、ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニン、ギャバの5種類です。
そして、これらの神経伝達物質のアンバランスが心の病気に影響します。
うつは、ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンの3種類のモノアミンと呼ばれている神経伝達物質の濃度が異常に低くなり発症すると言われています。
その仮説のもと開発されたのが「MOA阻害剤」という抗うつ剤です。
このページでは、神経伝達物質で心をつくるについてお伝えしました。
次の「神経伝達物質に良い食事、悪い食事」では、神経伝達物質に良い食事、悪い食事や、神経伝達物質の増やし方についてまとめています。