自律神経失調症と入浴の効果

更新日:2014.07.03

あなたはシャワー派?湯船につかる派?

「疲れているし、面倒くさいからシャワーで済ませよう」という方、多くないですか?
湯船に入らないとダメですよ。それは、入浴には人の体にとって色々な効果をもたらすからです。

まず、医学的に言うと、お湯の温度によって入浴自体の呼び方が違います。
24℃以下は冷水浴、24~34℃が低温浴、34~37℃が不感温浴、37~39℃が微温浴、39~42℃が温浴、42℃以上が高温浴です。通常の入浴は37℃以上の浴温のことを言うんです。

入浴効果1「温熱作用」

血液の循環が良くなり、疲労物質を減少させる。

一つ目の作用は、温熱作用ですね。
入浴により皮膚が暖められると血管が拡張して、血流量が増加します。それにより筋肉内の血液循環をよくして、疲労がとれます。血液の循環が良くなる事で、仕事や運動で血液の中に溜まった疲労物質の乳酸を減少させる事ができるのです。

39℃よりも高いお湯の温度で、血圧や心拍数が上昇させることができるのでこの作用が期待できます。

入浴効果2「静水圧作用」

心臓へ血液が戻りやすくなり、筋肉の疲労回復につながる

二つ目の作用は、静水圧作用です。
静水圧とは、お湯の下に沈んだ体が、水の重さの圧力を受けることで下半身のみの入浴(半身浴)では、下半身に静水圧がかかり、心臓へ血液が戻りやすくなるんです。その結果、血液循環が良くなり、筋肉の疲労回復の効果があります。

また、入浴時の初期は血圧が一時的に上昇します。これは湯の温度が高ければ高いほど、血圧上昇の程度は大きくなります。しばらくすると体が温まり血管が拡張して血圧は低下してきますが、静水圧があるため、それほど血圧は下がりません。

湯船から出るときは、静水圧が一気になくなってしまうため、血管拡張に伴う血圧の低下が現れるときがあります。そのため急に立ち上がったりすると、脳に回る血流が減少して、立ちくらみや失神を起こすことがあります。これはプールなどから一気に上がるときも同じです。

このように急な外圧変動に対しては、本来、血管が拡張したり収縮したりして、調整するので立ちくらみなどは起きません。

立ちくらみがある方は注意してください。

立ちくらみが起こるときは、自律神経に乱れがあると考えられます。自律神経失調症の方は注意して下さい。立ちくらみがあるときは、心身ともにゆっくり休みましょう。全身浴では、静水圧が全身にもかかるため、腹囲と胸囲が縮まり、横隔膜が上に持ち上がり、心臓と肺に負担がかかります。

上半身まで湯に浸った時、呼吸がしにくくなるのは静水圧のためです。心臓に負担がある人(狭心症や自律神経失調症や心身症などで心臓がバクバクする人)は、半身浴がお勧めですよ。

入浴効果3「浮力、粘性抵抗作用」

筋肉や関節に無理な負担をかけずに運動することができる

三つ目の作用が、浮力、粘性抵抗作用です。
最近運動機能が衰えた人では、リハビリテーションの一環として水中運動を行う時があります。浮力があるため、膝や腰にかかる負担が少なくなり、また、手足を動かすときの抵抗感になります。それが筋肉や関節に無理な負担をかけずに運動ができます。


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