更新日:2019.08.26
執 筆:整体師 中川裕二
☆ストレスと免疫についてお話しています。
~ 「自律神経とストレスと免疫」vol.2 ~
では、ストレスを受けたとき体はどう反応するのでしょうか。
体がストレスに対応出来るように、ストレスに対抗するホルモンの分泌が促されます。
先ほどお伝えしたように、ストレスは生命の危機です。
自身を守るために交感神経を働かせて、ストレスに対抗します。
そのため「警告反応期」では、視床下部から副腎に対して、自律神経の交感神経を介して神経伝達による信号によって、アドレナリンやノルアドレナリンが分泌されます。
視床下部 → 交感神経(アセチルコリン) → 副腎髄質からアドレナリン、ノルアドレナリンが分泌される
などの作用が起こります。
以上の作用によって、動悸や頭痛、息苦しさ、便秘などの身体症状が起こる場合があります。
「警告期」で、副腎皮質からアドレナリン・ノルアドレナリンが分泌した後は、それによって消耗されたエネルギーを補充し、ストレスへの抵抗を継続させる必要があります。
そのために「抵抗期」では、視床下部から副腎に対してホルモンによる信号を送り、抗ストレスホルモンとも呼ばれるコルチゾールを分泌させます。
視床下部から、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)が分泌される
→ 下垂体前葉から、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が分泌される
→ 副腎皮質から、コルチゾールが分泌される
などの作用が起こります。
体はストレスに適応しようと反応するため、身体症状は一時的に薄れる場合もあります。
しかし、表面上に症状が現れなくても、体の中では解消されていません。
このまま無理を続けてしまうと、次の「疲憊期」に移ります。
疲憊期は、ストレスに抵抗出来なくなるほど消耗しきった状態です。
強いストレス状態が長期間続くとコルチゾールが不足してしまい、ストレスに抵抗することが出来なくなってしまいます。
体のエネルギーを消耗しきった状態なので、やる気や集中力もなくなり、様々な身体症状が現れます。
この状態であると、うつ病と診断されることもあります。
免疫とは、体の外から体内へと入ってきた病原微生物や異物などを排除するために、体に備わっている生体の防御機構です。
病原微生物は、人の体内で自分自身が生き残るために活動します。
そのため、放置していると過剰に増殖し、体に悪影響を及ぼします。
この外部からの侵入者を排除しなければ、自律神経がコントロールしてくれている呼吸、循環、消化、代謝、分泌、体温維持、排泄、生殖などの働きを穏やかに運用していくことが出来ません。
そこで侵入者を排除していく際に「攻撃をするべき細胞」と「自分自身の細胞」の区別が出来ないと、自分自身にダメージを与えてしまったり、排除すべき相手を放置することになってしまいます。
そのために、免疫には自己なのか非自己なのかを認識し、自分でないものを排除しようとする機能が存在します。
このような免疫機能は、主に白血球が担当しています。
白血球を構成する細胞や働きには以下のようなものがあります。
白 血 球 |
顆 粒 球 |
好中球 |
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---|---|---|---|
好酸球 |
|
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好塩基球 |
|
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単球 |
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リンパ球 |
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自律神経の働きは、免疫の働きに大きく影響を与えます。
交感神経の働きが優位な時には、細菌や異物などを攻撃する顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)の数が増えます。
そのため、活動している最中に外傷などを負った際、体の中に入ってくる細菌や異物、寄生虫などの大きな細胞の侵入者に対しての免疫が強くなります。
一方でリンパ球の数は減り、抗体を産生する働きが弱まり、ウイルスなどの侵入者に対する免疫は弱くなります。
腫瘍細胞を攻撃するリンパ球(NK細胞)の働きも弱まるため、腫瘍細胞は増殖してしまいます。
反対に副交感神経が優位な時には顆粒球の数は減り、ウイルスなどの侵入者を攻撃してくれるリンパ球の数が増えます。
そのため、風邪やインフルエンザなどウイルスに対する免疫が強くなります。
腫瘍細胞を攻撃するリンパ球(NK細胞)の働きも強まるため、腫瘍細胞の増殖を抑えます。
同じ免疫の反応を行っていても、自律神経の状態によって働いている白血球の種類は異なります。
そのため、日中は交感神経が優位に働き、夜は副交感神経が優位に働く事で、片方に偏ることなく免疫がむらなく働いてくれるのが理想です。
このページでは、「ストレスと免疫」についてお伝えしました。
次の「自律神経のバランスを整えて、健康になろう」では、自律神経の働き方についてまとめています。