更新日:2014.07.14
執 筆:鈴木能鷹
血液の流れが悪くなるとどうなるのか、その原因は何なのか?
~ 「血流」vol.1 ~
体の各部は、血液が運んでいる酸素や糖分などを燃料として働いています。そのため、血液の流れが悪くなり、流れてくる血液の量が減るとそこの部分は上手く働かなくなってしまいます。めまい、耳鳴り、難聴などの症状も耳の内部の血行不良と関係があります。
血流が悪くなると体温は下がり、血流が良くなると体温は上がります。これらは自律神経の働きによるもので、その働きは内臓にも及んでいます。
主に心臓や肺などの循環器系や呼吸器系は交感神経支配下で働きが活発になり、胃腸を中心とする消化器系は副交感神経支配下で働きが活発になります。こうした自律神経の支配は、基本的には日中は「交感神経」夜は「副交感神経」が優位に働くというリズムに従って切り替わるようになっています。
しかし、このリズムは絶対的なものではなく、その時々の刺激や行動、精神状態によって臨機応変にその支配が切り替わります。
昼夜逆転などの生活をしていると、それがストレスとなって自律神経のバランスが崩れ、病気をつくりだしてしまいます。交感神経が過剰に緊張すると、免疫を担う白血球の中の顆粒球が増加します。すると、増えすぎた顆粒球が死滅するときに発生する大量の活性酸素によって血液を酸化させ、血液がドロドロになり、血行を悪化させ、低体温になります。
低体温の人は交感神経が過緊張になっている危険性が高く、その状態が長く続くとめまい、耳鳴り、肩コリ、腰痛、頭痛、手足のシビレや冷え、食欲不振、不眠症などの症状を招きやすい身体環境をつくりだしてしまいます。
それがうつや自律神経失調症につながるのです。血行不良や低体温は、自律神経の乱れを知らせるアラームのようなものです。普段からゆっくりお風呂に入ったり、運動をしたり、食べ物に気を使うなどをして、自律神経をほぐして血行を良くし、体温を上げておくことがストレスに負けない自然治癒力、免疫力の高い体をつくると私は考えています。
以下に血流の詳しい情報を掲載しましたので、ご興味のある方はご参照ください。
血流には、さまざまな栄養素や酸素、水分の他、病気から体を守る働きをする白血球や免疫物質が含まれています。特に白血球には、血液の流れに乗って体内をめぐることにより、体内に細菌や異物などが入り込んでいないかチェックする役割、そして見つけると駆けつけて体を守ろうとする役割があります。
ですから、血流が悪いと素早くチェックしたり駆けつけたりすることができず細菌やウィルスに負けてしまいます。つまり血流が良くなれば、これらの物質による免疫システムもスムーズに働いて病気も治りやすくなるというわけです。
人はお腹や腰などが痛い時、本能的に患部に手を当てそこを温めて血流を良くしようとします。その行為は、単なる気休めではなく理にかなった治療法だったのです。
血液は、人間が生きていく為に欠かせないたくさんの働きをしています。血液は骨の中心部の骨髄で作られます。骨髄にある造血幹細胞という細胞が分かれて、赤血球、白血球、血小板という血球ができます。血液は、有形成分の3つの血球(約45%)と、液体成分の血漿(約55%)で構成されています。血漿の90%は水で、それ以外は主にたんぱく質などです。
たんぱく質中には、液体成分が血管から組織に漏れるのを防いだり、ホルモンなどの物質に結合して運搬する働きをするアルブミン、ウィルスや細菌、真菌、ガン細胞などから体を保護する役割を持つ抗体の免疫グロブリン、出血を止める血液凝固因子などがあります。
血漿にはその他、糖や脂肪、ビタミンなどの栄養素も含まれています。人間の体は約60兆個もの細胞の働きによって維持されているのですが、この細胞が働くためには常に酸素が必要です。肺でキャッチした酸素を送り、老廃物となった二酸化炭素を回収する働きをしているのが赤血球です。
そして体内に侵入した細菌やウィルスなどから体を守ってくれるのが白血球。 出血した時に、血管部分を修復するのが血小板です。更に、血液は全身を流れることによって体温も調整しています。つまり、血液がスムーズに流れているということは、全身の細胞が生き生きしていて、体温も安定した状態であるということです。
ちなみに、全身の血液量は体重の約13分の1の量しかありません。それなのに、体の隅々まで栄養を届け、異常をチェックし健康を支えているのは驚きです。
血流の良し悪しは血管に大きく影響されます。血管には、動脈、静脈、毛細血管などがあります。動脈は心臓から出た血液を末端へ運ぶ血管で、毛細血管は細動脈と細静脈を結ぶ直径5~20ミリの非常に細い網目状の血管です。
そして静脈は、毛細血管から血液を心臓に送り返す血管です。動脈や静脈には3層の膜があります(外側から外膜、中膜、内膜)。動脈は中膜の平滑筋という筋肉により伸縮性と弾性に富んでいます。それに対し静脈にはこの平滑筋が少ないので弾性があまりありません。そして毛細血管には3つの膜自体がなく、内皮細胞だけです。
毛細血管の壁は内皮細胞が横並びになって形作られていて、その隙間を通して血液中と外の細胞や組織との物質交換が行われています(栄養素、酸素、二酸化炭素、老廃物など)。これを「透過性」といい、透過性が良過ぎると血管内の水分や血液なども毛細血管の外に出てしまい、むくみやじんましん、湿疹や出血が起こりやすくなります。
毛細血管に限らず、動脈や静脈の内皮細胞も血液の循環にとって、非常に重要な働きをしています(種々の血管作動物質を産生、分泌して、血管中膜の平滑筋の収縮、拡張を調整したり、血液を固まらせる作用のある血小板の粘着、凝集を阻止し、血栓を防ぐなど)。
内皮細胞の隙間から栄養素や酸素を外に送り込んだり、老廃物や二酸化炭素を運んだりしています。
血圧とは、心臓から押し出された血液が血管の内壁を押す力のことをいいます。上の血圧(最高血圧)は、心臓が収縮して血液を送り出したときの力。下の血圧(最低血圧)は、心臓が収縮して血液を送り出したあと拡張したときの力のことです。
この最高血圧、最低血圧のどちらかが上がりすぎたり、最高血圧と最低血圧の差が大きくなるほど血管を老化させ硬くしていきます。血圧の正常値は、成人の場合で最高血圧130~139、最低血圧85~89とされています。そして高血圧の基準は、最高血圧が140以上、最低血圧が90以上とされています。
高血圧とは、ストレスにより自律神経失調症になり交感神経が過剰に働き続けたり、動脈硬化などが生じて血流が悪くなってしまい、心臓が全身の細胞に酸素や水分、栄養素を送り届けるため、いつも以上に力を入れて無理している状態のことをいいます。
つまり、心臓は血圧を上昇させることによってその働きを遂行しようとしているわけですから、高血圧が良くないからといって降圧剤などでやみくもに下げることには問題があります。降圧剤の副作用には、うつ(脳の血行不全)や血栓症(心筋梗塞、脳梗塞)、倦怠感などがあります。
では次に、「血流を悪くする原因と対策」のページで
についてまとめます。